「リチウムイオン電池内蔵の商品は輸入できるの?」
「リチウムイオン電池製品の輸入ルールが複雑でよく分からない」
スマートフォンやワイヤレスイヤホンなど、多くの製品に内蔵されているリチウムイオン電池。「輸入が難しい」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
リチウム電池は危険物にあたるため、各国で遵守しなければならない法律や細かい輸送ルールがあります。とはいえ、必要な条件を理解し、正しい手順を踏めば、輸入することは十分に可能です。
そこで本記事では、リチウムイオン電池の輸入条件や国際輸送方法について、分かりやすく解説します。
この記事を読めば、リチウムイオン電池を含む商品を正しく輸入・販売することができるようになりますので、ぜひ最後までお読みください。
リチウム電池の基礎知識

リチウムイオン電池製品を輸入する前に、そもそもリチウム電池とは何か、なぜ輸送に厳しい制限があるのかを確認しておきましょう。
リチウム電池とは
リチウム電池は、リチウムという金属を使った電池の総称です。軽くて高い電圧を出せるため、身近な電子機器にも多く使われています。
リチウム電池には大きく分けて「リチウム一次電池」と「リチウムイオン蓄電池(二次電池)」の2種類があります。
- リチウム一次電池…充電ができない使い切りタイプの電池
- リチウムイオン蓄電池(二次電池)…繰り返し充電して使える電池
中国輸入で扱うことが多いのは、充電式のリチウムイオン蓄電池のほうです。
リチウムイオン電池を含む製品例
中国から輸入する際に注意が必要な製品を、大きく2つに分けて見ていきましょう。
リチウムイオン電池単体
リチウムイオン電池そのものを指します。
- モバイルバッテリー
- 交換用バッテリー
これらは「電池単体」として扱われるため、国際輸送においては危険物扱いとなり、特に厳しい輸送規制が適用されます。
なお、モバイルバッテリーは電気用品安全法における丸形PSEの対象製品です。一方で、交換用バッテリーについては製品仕様によってPSE対象となるかどうかが異なるため、事前に確認が必要です。
また、PSE対象外であっても、輸送会社の基準によっては発送ができない場合があります。
リチウムイオン電池が機器に内蔵・付属されている製品
リチウムイオン電池は、コンセントから抜いても使える機器のほとんどに搭載されています。
- スマートフォン
- パソコン
- スマートウォッチ
- ワイヤレスイヤホン
- ドローン
- デジタルカメラ
- 電動工具
輸入規制される理由
リチウム電池は高いエネルギーを蓄えているため、衝撃や高温などで発火・爆発する危険性があります。輸送中に発火し、飛行機や船の中で火災が発生すれば、大きな事故につながりかねません。そのため、国際的な輸送ルールでもリチウム電池は「危険物」として扱われ、厳しい制限が設けられているのです。
リチウム電池商品は中国輸入できる?

リチウムイオン電池を含む製品であっても、すべてが電気用品安全法(PSE)の対象となるわけではありません。
ただし、PSE対象製品に該当する場合は、日本国内で販売するためにPSEマークの取得など所定の要件を満たす必要があります。
- 日本側の規制:PSEマークの表示(適合性確認)
- 輸送時の規制:UN38.3(国連勧告輸送試験)の合格
- 輸送時の規制:輸送会社のルールのクリア
以上の条件を満たさずに輸入しようとすると、税関で止められたり、最悪の場合、輸送時に発火し、重大事故につながったりする可能性があります。上記の条件を必ずクリアした上で、安全に輸入しましょう。
日本側の規制:PSEマークの表示(適合性確認)
日本でリチウムイオン蓄電池を含む商品を販売する場合、電気用品安全法の対象となる製品については、PSEマーク(電気用品安全法の基準適合マーク)の適合確認を行い、表示が必要です。
※PSE対象となるかどうかは製品の種類や仕様によって異なります。
例えば、モバイルバッテリーは丸形PSEの対象ですが、機器内蔵の電池は対象外となるケースも多くあります。
また、ACアダプターなど電源部がある製品は、その電源部分がひし形PSEの対象となる場合があります。
PSEマークとは、電気用品安全法に基づき、輸入事業者が技術基準への適合性を確認し、その責任のもとで表示するマークです。第三者が認証して付与するものではなく、輸入事業者自身が適合確認を行ったうえで表示する必要があります。
PSEマークには以下の2種類があります。
- ひし形PSEマーク…特に危険が生じる高い電気用品に表示されるPSEマーク。116品目が対象。
対象商品はこちら≫経済産業省「特定電気用品一覧」
- 丸型PSEマーク…ひし形PSEマーク対象以外の製品で表示されるPSEマーク。341品目が対象。
対象商品はこちら≫経済産業省「特定電気用品以外の電気用品一覧指定商品」
PSE対象製品を販売する場合、輸入事業者はまず経済産業省令で定める技術基準への適合性確認を行う必要があります。
そのうえで、電気用品輸入事業の届出を行い、要件を満たした製品について、事業者の責任のもとでPSEマークを表示します。
なお、ひし形PSE対象製品(特定電気用品)の場合は、登録検査機関による適合性検査が義務付けられています。一方で、丸形PSE対象製品については、輸入事業者による自主確認が基本となります。
また、PSE対象製品であっても、他社が適合確認を行った製品をそのまま販売できるわけではありません。輸入事業者は、自社の責任において適合性確認および必要な手続きを行う必要があります。
※ひし形PSE対象製品については、登録検査機関による適合性検査の結果(副本)を活用できるケースもありますが、最終的な責任は輸入事業者にあります。
輸送時の規制:UN38.3(国連勧告輸送試験)と輸送会社の判断
リチウム電池製品は「危険物」に該当するため、輸送時にも細かいルールが定められています。
まず、リチウムイオン電池製品を国際輸送する際は、国連が定める「UN38.3」という試験を求められるケースがあります。UN38.3では、以下の8項目の試験が定められています。
| T1 | 低圧 |
| T2 | 温度 |
| T3 | 振動 |
| T4 | 衝撃 |
| T5 | 外部短絡 |
| T6 | 衝突 |
| T7 | 過充電 |
| T8 | 強制放電 |
メーカーが自社で検査を行うか、認証機関や試験機関で試験を実施し、試験報告書を作成する必要があります。
輸送時の規制:輸送会社のルールのクリア
リチウムイオン電池商品を輸送するには、それぞれの輸送会社のルールも遵守しなければなりません。航空便・船便でそれぞれによくあるルールを確認していきましょう。
航空便の場合
航空便は早く届くメリットがありますが、国際規則や航空会社ごとのルールに従う必要があります。
容量の大きいバッテリー(100Wh超)や、電池単体での大量輸送は航空便では難しいことが多いです。 端子を絶縁状態にする、箱内のすき間を埋める、専用ラベルの貼付など梱包要件も厳しく定められています。
利用する輸送会社によってもルールが異なるため、必ず輸送前に確認しましょう。
船便の場合
船便は輸送日数が1ヶ月前後かかりますが、航空便よりも輸送規制が比較的ゆるやかです。容量の大きい電池や、まとまった数量を輸入する場合は船便を利用するのが一般的です。
ただし、船便でも「危険物」として申告し、輸送会社のルールを遵守して輸送しなければなりません。
※実務上は、UN38.3への適合有無だけで輸送可否が決まるわけではありません。最終的には輸送会社の判断によるため、事前確認が重要です。
リチウム電池商品の輸入手順

リチウムイオン電池製品を中国から輸入する手順は以下の5ステップです。
- STEP1:商品の選定
- STEP2:輸送方法の選択と必要書類の準備
- STEP3:梱包・発送
- STEP4:通関手続き
- STEP5:商品の受取・検品
それぞれ解説します。
STEP1:商品の選定
まず、輸入する商品を決めます。商品を選定する際には、PSEマークの有無を確認しておきましょう。
認証があるかどうか不明な場合や、直接自分で仕入れ先に確認するのが難しい場合は、信頼できる中国輸入代行業者を通して確認するのが安心です。代行業者を活用すれば、認証の確認から輸送手配まで代わりに行ってくれるため、ビジネスをスムーズに進められます。
STEP2:輸送方法の選択と必要書類の準備
商品が決まったら、航空便か船便かを決め、輸入に必要な書類を揃えましょう。輸送業者や代行業者に、リチウム電池を含むことを必ず伝える必要があります。
輸入する際は、一般的に以下の書類が求められます。
- 製品仕様書
- インボイス(商品の明細と金額)
- パッキングリスト(梱包内容)
- 危険物申告書
- SDS(安全データシート)※メーカーが発行
- UN38.3試験報告書
書類に記載する情報は正確でなければなりません。実際の商品と書類の内容が違うと、税関で止められる原因となります。
輸送業者によっても必要な書類は異なりますので、必ず事前に確認しましょう。
STEP3:梱包・発送
必要書類を揃えたら、輸送中のトラブルを避けるため、厳重に梱包を行います。電池がショートしないよう絶縁処理をし、衝撃から守る緩衝材をしっかり入れます。
輸送業者で定められているルールに則って梱包してから発送しましょう。
STEP4:通関手続き
商品が日本に到着したら、通関手続きが始まります。税関では、書類と実際の荷物が一致しているかを確認されます。
STEP5:商品の受取と検品
無事に通関できれば、日本国内の指定場所に商品が届きます。商品が届いたら、必ず検品しましょう。破損がないか、注文した内容と合っているかなどを確認します。
問題があれば、すぐに仕入れ先や輸入代行業者に連絡し、適切に対応しましょう。
リチウム電池商品の輸入で注意すべきポイント

中国輸入の流れが分かったところで、輸入をスムーズに進めるために、特に気をつけたいポイントを3つお伝えします。
電池の種類と容量を正確に把握する
リチウムイオン電池製品を輸送するには、電池の種類(電池単体か機器内蔵か)や容量を正確に把握しておくことが重要です。
容量はmAh(ミリアンペア時)で表記されていることが多いですが、輸送規制ではWh(ワット時:エネルギー量)が基準として用いられます。
そのため、輸送可否を判断する際には、mAhではなくWhで確認する必要があります。
商品説明と書類の記載内容を一致させる
書類に書かれた情報と実際の商品が違うと、虚偽申告と見なされ、税関で止められてしまう恐れがあります。
商品名、型番、数量、重量、電池の仕様などは、すべて正確に記載しましょう。仕入れ先から提供された資料をそのまま使う場合も、内容をしっかり確認することが大切です。
航空会社・輸送業者ごとのルールの違いに注意する
航空会社や輸送業者によってリチウムイオン電池製品の受け入れ基準、必要書類、梱包条件は異なります。事前に輸送業者に商品の詳細を伝え、受け入れ可能か確認しておくと安心です。
まとめ

今回は、リチウムイオン電池商品について解説しました。リチウムイオン電池は、輸入ルールを理解し、正しい手順を踏めば十分に輸入可能です。クリアすべき条件をもう一度まとめておきます。
- 日本側の規制:PSEマークの表示(適合性確認)
- 輸送時の規制:国際試験・輸送会社のルールのクリア
リチウムイオン電池製品の輸入は、「電池の種類・数量」「航空便か船便か」によっても対応が異なるため、商品ごとに最適な方法を選ぶことが大切です。
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さらに、日本国内ですぐに販売できるよう、中国国内でのPSEマーク表示に向けた関係機関との交渉やサポートも可能です。
安全に輸入し、安心してビジネスを進めていきたい方は、ぜひイーウーパスポートをご活用ください。
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※本記事の内容は執筆時点の情報に基づいています。法令や輸送ルールは変更される可能性があるため、実際の運用にあたっては必ず最新の情報を関係機関または輸送会社にてご確認ください。

