中国輸入OEMやODMをする時には、意匠権について知っておく必要があります。
意匠権は知的財産権のひとつで、新しく創作したデザイン(物品の形状や模様、色彩、またはこれらを融合して創られたもの)を一定期間、独占して使用できる権利です。
最近では、2024年に花王がアイリスオーヤマに「めぐリズム」というアイマスクの意匠権を侵害されたと主張し、話題になりました。
中国輸入OEMやODMを行う際は、他社の持っている意匠権を侵害しないよう、前もって調査する必要があります。
もし意匠権侵害に該当する商品を販売してしまうと、訴訟などの大きなトラブルに発展するおそれがあります。
この記事では、中国輸入OEMやODMで意匠権侵害によるトラブルを回避するためにやるべきことを解説します。
トラブルに発展してしまったら「知らなかった」では済まされません。
社会的にも金銭的にも大きなダメージを受けることになります。
中国輸入OEM・ODMを始める前に、意匠権の基礎知識を身に着けておきましょう。
意匠権とは?
人によって新しく創作されたデザインを意匠といいます。
意匠には、
- 物品の形状
- 模様
- 色彩
- 上記を融合して創られたもの
が含まれ、意匠を一定期間独占できる権利が意匠権です。
意匠登録をすると出願の日から最長で25年間、意匠権をもつことができます。
意匠権のある商品はスマートフォンやノートなどの小さなものから、冷蔵庫や産業機械などの大きなものまで、幅広く存在します。令和2年4月からは、画像や建築物、内装のデザインも保護対象として加わりました。
デザインの権利を守る意匠制度ですが、意匠権は特許庁に出願することで初めて取得できます。
独自に新しいデザインを考案しても、特許庁へ申請しなければ権利は発生しません。
自分が考案したデザインであっても他人が先に意匠登録すれば、先に登録した人が権利を得ることになるので、注意が必要です。
意匠登録すると他社との差別化を図ることができ、ブランド力の強化にもつながるので、多くの企業が積極的に利用しています。
意匠権を取得するメリット
意匠権の取得には他社との差別化以外にも、次のようなメリットがあります。
- 模倣品や偽物対策
- 他社の権利侵害の回避
- ブランド力の強化
- ライセンス契約による事業拡大が可能
意匠権の最大のメリットは模倣品対策です。
これまで世の中になかった斬新なデザインを発表したとき、意匠登録をしなければ、他社が模倣品や偽物の販売を開始するでしょう。
時間をかけて生み出した商品の売上を他社に奪われるのは、納得できないですよね。
しかし意匠権があれば、模倣品を扱う他社に対して製造・販売の停止や損害賠償を請求したり、海外からの輸入を差し止めたりすることができます。
模倣品や偽物が出回るのを防げるので、安心してビジネスに集中できるでしょう。
他社とライセンス契約を結び、ビジネスの幅を広げることもできます。
生産能力のある工場とライセンス契約を結び、意匠を使った商品を製造してもらえば、認知度が上がりブランド力の向上にもつながります。
その他にも、意匠権を担保に融資が実行された事例もあるようです。
意匠権をもつことで、社会的な信頼を得ることもできるんですね。
意匠権を取得すると、ビジネス上のトラブル回避や事業拡大など、さまざまなメリットを享受できます。
中国輸入OEMやODMで意匠権を侵害するリスク
中国輸入OEMやODMで製造したオリジナル商品が他社の意匠権を侵害した場合、訴訟などのトラブルに発展するリスクがあります。
意匠権侵害が発覚すると、
- 製造・販売の停止
- 税関での差止め
- 損害賠償の請求
などのペナルティを課せられるでしょう。
また、模倣品をAmazonで販売していた場合は、次のような制裁を受けることが考えられます。
- 商品ページの削除・販売停止
- アカウント停止または閉鎖
商品の販売停止を余儀なくされれば、製造した商品は不良在庫として残り、大きな損失につながるでしょう。
さらにアカウント閉鎖になれば、意匠権侵害と関係のない商品も販売できなくなります。
事業をやめざるを得ない状況に追い込まれるかもしれません。
また、相手の対応によっては、過去の売上に対して補償金の支払いを請求されるケースもあります。
オリジナル商品が意匠権を侵害すると、社会的にも経済的にも大きなダメージを受ける可能性があると覚えておきましょう。
【訴訟事例】意匠権侵害により、約5,000万円の支払いを命じられたことも
意匠権侵害によって訴訟を起こした商品に、ReFa(リファ)の「Y型マッサージ棒」があります。
ReFaの商品を販売している株式会社MTGは、Y型マッサージ棒の模倣品を製造した中国の企業に対して訴訟を起こしました。製造・販売の差止めと損害賠償を請求し、最終的に約5,000万円の支払いを認める判決が下されました。
この事例から分かるように、意匠権侵害によるトラブルは社会的にも経済的にも大きなダメージを受けることになります。
中国輸入OEMやODMでは、他社の意匠権を侵害しないように細心の注意を払う必要があります。
中国輸入OEMやODMで意匠権侵害を防ぐためにやるべきこと
中国輸入OEMやODMで意匠権侵害によるトラブルを回避するために、事前に競合商品や類似商品が意匠登録されていないか調べておきましょう。
登録されている意匠は、特許庁の提供している「特許情報プラットホーム J-PlatPat」で簡単に調べられます。
オリジナル商品の企画・開発の段階で、J-PlatPatで意匠登録されていないことを調べてから、サンプルの発注に進みましょう。
J-PlatPatの具体的な使い方は次の項目で解説します。
「特許情報プラットホーム J-PlatPat」の使い方
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「特許情報プラットホーム J-PlatPat」で意匠を調べる方法は下記のとおりです。
- 簡易検索で「意匠」にチェックを入れる
- 検索窓に意匠登録の有無を調べたい企業やブランドの名称を入力する
- 検索窓の右側にある【検索】ボタンをクリックする
例として、花王が販売しているアイマスク「めぐリズム」の意匠情報を調べてみます。
検索窓に「花王」と入力し、検索をクリックします。
検索結果には、多数の意匠登録が表示されました。
(件数は検索時点のデータによるため変動する可能性があります。)
スクロールしていくと、意匠登録1756188に「アイマスク」と登録されていました。
図面を確認すると、「めぐリズム」の意匠であることが分かります。
意匠登録番号をクリックすると、図面や意匠の説明など、より詳細な情報を確認できます。
意匠登録の有無はJ-PlatPatで簡単に調べられるので、企画・開発の時に必ずチェックしておきましょう。
【まとめ】中国輸入OEMやODMでの意匠権侵害はリスク大!必ず事前に確認しよう
この記事では、中国輸入OEMやODMで意匠権侵害のトラブルを回避する方法を解説しました。
この記事のまとめ
- 意匠権とは、新しく創出されたデザインを保護するもの
- 意匠権侵害は訴訟などの大きなトラブルにつながるおそれがある
- 独自のデザインを採用している商品を参考にする場合、意匠登録されていないかJ-PlatPatで調べる
意匠権侵害によるトラブルは、社会的な信用の喪失や経済的な損害につながります。
事業を継続できなくなるおそれもあるので、競合商品の意匠登録の有無を確認し、さらに類似デザインが既存の意匠権を侵害しないか、専門家と相談しながら行いましょう。
判断に迷ったら、弁理士や弁護士に相談し、不安を解消してから製造・販売に進みましょう。
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