「中国輸入のアパレルにもタグは必要?」
「タグには何を表記すればいいの?」
「タグを付けて安心して商品を販売したい」
私たち日本人が普段何気なく見ている洋服のタグ。実は「家庭用品品質表示法」により、必ず日本語のものを取り付けなければならないルールがあるのです。さらに、表示方法にも細かい規定があります。
そこで、本記事ではアパレル製品を中心に、品質表示タグの基礎知識から、表示方法まで分かりやすく解説します。特に中国輸入ビジネスで、タグを付けるか、付け替える必要があるのか迷っている方は必見です。ぜひ最後までお読みください。
輸入商品にも品質・洗濯表示タグは必要

輸入したアパレル商品を日本で販売する場合でも、品質・洗濯表示タグは必要です。
日本では「家庭用品品質表示法」という法律により、商品に日本語で品質表示をすることが義務付けられています。この法律は購入者が商品を購入する際に、適切な情報提供を受けることができるように制定されたものです。
この章では、家庭用品品質表示法の基本知識と違反した場合の罰則についてご紹介します。
家庭用品品質表示法の基礎知識
家庭用品品質表示法では、対象となる製品が大きく4つのカテゴリに分かれており、それぞれに表示のルールが定められています。
- 繊維製品:糸、織物、ニット、ブラウス、ズボンなど
- 合成樹脂加工品:皿やまな板など
- 電気機械器具:電子レンジ、エアコンなど
- 雑貨工業品:ティッシュペーパー、机、歯ブラシなど
今回紹介するアパレル商品は「繊維製品」に該当します。たとえ海外製でも、日本国内で販売するなら、日本語で分かりやすく表示することが必須です。中国輸入商品の場合、中国語で書かれたタグは日本語のタグに付け替えなくてはなりません。
なお、すべての繊維製品が対象になるわけではありません。たとえば 靴下、マフラー、タオルなどは品質表示の義務がありません。また、日常的に着用しない衣料品(例:コスプレ衣装など)も対象外となります。
出典:消費者庁「繊維製品の表示について(対象品目・除外品目)」
タグがないと法律違反になる?
品質・洗濯表示タグがないと法律違反になる可能性があります。毎年、地方自治体の立入検査や購入者からの情報提供により、違反が発覚しています。特に繊維製品に関する購入者からの相談件数がもっとも多くなっています。
家庭用品品質表示法に違反した場合、20万円以下の罰金が科される可能性があります。違反すると、罰金だけではなく購入者からの信用も失ってしまいます。
継続的にビジネスを続けるためにも、法律に従って正しく表示するようにしましょう。
(参考:消費者庁「家庭用品品質表示法」「令和5年度における家庭用品品質表示法の運用状況」)
アパレル商品の品質表示タグに必須の情報

では、実際にアパレル商品にはどのような表示が必要なのでしょうか?詳しく解説していきます。
アパレル商品の品質表示タグに必要な情報は以下のとおりです。
- 繊維の組成
- 家庭洗濯等取扱方法
- はっ水性(はっ水性を必要とするコートのみ)
- 表示者名と連絡先
繊維の組成
繊維の組成とは、素材の種類のことです。タグに「綿100%」や「60%綿 40%ポリエステル」と表示されているのを見たことがある人も多いのではないでしょうか?
品質表示タグには、素材名とその割合をパーセントで表示しなくてはなりません。複数の素材が使われている場合は、使用量の多い順に記載します。
出典:消費者庁
素材は、着心地を重視する人、アレルギー体質の人にとっては非常に重要な情報です。繊維の表示は指定用語を使用して、必ず記載しましょう。
≫消費者庁「繊維の名称を示す用語」
家庭洗濯等取扱方法
タグには「洗濯方法」も明確に書く必要があります。服を長く愛用してもらえるよう、正しいお手入れ方法を伝えるためです。
基本的には記号だけで分かるようにするのがルールです。特にアパレルでは、洗いやすさを重視して購入を決める人も多いので、必ず記載しましょう。
なお、この洗濯表示マークは世界共通で使われているため、確認やデータ作成もしやすいのが特徴です。
出典:消費者庁
はっ水性(はっ水性を必要とするコートのみ)
レインコートなど、はっ水性を必要とするコートでは、はっ水性表示をしなくてはなりません。それ以外の商品は、 JIS規格に基づく試験で基準を満たしていれば、任意で表示が可能です。
出典:消費者庁
はっ水性を表示する場合は「はっ水(水をはじきやすい)」と記載しますが、「防水」という表現は使えないので注意しましょう。
表示者名と連絡先
タグには、製造者や販売者の名前と連絡先も記載しなくてはなりません。表示者の名称を法人名とする場合は、登記された正式名、個人の場合は原則として個人名または屋号を表示します。
出典:消費者庁
連絡先は、住所または電話番号のどちらかを記載すればOKです。
住所の場合は、都道府県名から部屋番号まで、省略せずにすべて記載しなければなりません。電話番号を記載する場合は、フリーダイヤルは認められますが、携帯電話番号の記載は禁止されています。
連絡先の表示は、企業としての信頼性を示す意味でも重要です。
(参考:消費者庁「繊維製品の表示について」)
アパレル商品の品質表示タグにあると便利な任意情報

以下の項目は必須ではありませんが、品質表示タグでよく見る任意の表示です。これらの情報もタグに書いておくと、購入者がさらに安心して購入ができたり、商品管理が効率的になったりします。積極的に取り入れると良いでしょう。
- 品番・サイズ
- カラー・カラーナンバー
- ブランドネーム・ロゴ
- 原産国
- 取扱いに関する注意文
品番・サイズ
品番やサイズの表示は、購入後の管理や再購入をしやすくするために役立ちます。また、在庫管理や販売時の識別にも必要となるため、実務面でも非常に有効です。
購入者からの問い合わせにも、品番が書かれていると効率的に対応できるようになります。
カラー・カラーナンバー
商品に色が複数ある場合は、カラー名やカラーナンバーを記載すると便利です。在庫の管理、または購入時の識別に役立ちます。
特に似た色が多い商品では、色番号があることで誤注文を防げます。
ブランドネーム・ロゴ
ブランド名やロゴの記載は、商品の信頼性や高級感を伝えるために効果的です。特にファッション性の高いアパレルでは、ブランド表示は購入の決め手にもなります。
原産国
製造国の表示は義務ではありませんが、多くの商品で付けられています。「中国製」や「MADE IN JAPAN」と書かれたのが原産国にあたります。
「どこで作られた商品か」を明示することで、品質イメージにつなげられますよ。
取扱いに関する注意文
タグには、取り扱いについての注意文を記載することもよくあります。商品を長持ちさせるために、特別な取り扱いが必要な場合に多く使われています。
たとえば、「色落ちする場合がありますので、他の物とのお洗濯はお避けください」や、「あて布を使用してください」などです。 こうした情報をあらかじめ伝えておくことで、購入者が正しく取り扱えるようになり、品質劣化や破損を防げます。その結果、返品やクレームの減少にもつながります。
【中国輸入】品質表示タグを付ける3つのステップ

品質表示タグは、輸入前に中国国内で取り付けるか、輸入後に日本国内で取り付けるかのどちらかになります。
想像がつきやすいと思いますが、日本国内でタグを付けると、高額な人件費と作業コストがかかります。自身で縫い付けられる方ならまだ良いのですが、縫い付けまで外注に頼むと国内送料などの追加コストも発生してしまいます。
そのため、輸入前に中国国内で取り付けておくのがおすすめです。
タグ付けの工程は、以下の3ステップです。
- データ作成
- 印刷
- 取付
それぞれ解説します。
データ作成
データ作成は日本の法律(家庭用品品質表示法)に基づき、必ず日本語で作成する必要があります。基本的には自分で作成するか、専門サービスに依頼する形になります。
一般的な中国輸入代行業者では対応していない場合が多いため、外部の専門サービスを利用するか、自作して正しく準備するのが安心です。
イーウーパスポートのデザインサービスで洗濯タグの作成も可能です。
印刷
データが完成したら、次は印刷作業です。輸入代行業者や製造工場に依頼する方法があります。日本語の正確な表記が必要なので、印刷前に入念にサンプルを確認するようにしましょう。
印刷や取付は、基本的には仕入れ元や工場に依頼するのが一般的です。外部の印刷業者に作成を依頼し、検品業者などで後から付け替える方法もありますが、タグを取り外して再縫製するため仕上がりが綺麗になりにくい点には注意が必要です。
外部業者を利用する最大かつ唯一のメリットは、少量ロットから対応できるという点です。
取付
中国で取り付ける場合は、現地の業者に依頼するのが一般的です。
品質表示タグは、簡単に取れないように取り付ける義務があるので、サンプル品を確認し、縫製が丁寧で信頼できる業者に依頼しましょう。縫製の丁寧さは購入者の満足度にもつながりますよ。
まとめ

今回は、アパレル製品に必要な品質表示タグの基礎知識から、表示方法まで詳しく解説しました。
輸入商品にも品質・洗濯表示タグは必要です。法律を守るとともに、購入者に安心感をもってもらうためにも、必ず取り付けるようにしましょう。
中国輸入代行の「イーウーパスポート」でも、洗濯表示タグの印刷・取付を承っております。
小規模アパレルやOEM商品などにもご活用いただけますので、タグの取付・付け替えをお考えの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。