「航空便と船便のコストと納期の違いは?」
「航空便と船便の効果的な使い分け方を知りたい」
国際輸送の手段である航空便と船便。それぞれにメリット・デメリットがあり、どちらを選ぶか迷う方も多いことでしょう。
そこで本記事では、航空便と船便の違いから、輸入ビジネスに適した使い分け方法までご紹介します。
この記事を読めば、状況に合わせて最適な配送手段を選べるようになるはずです。ぜひお読みください。
航空便と船便の違い

はじめに、航空便と船便の主な違いを表にまとめました。
| 項目 | 航空便 | 船便 |
|---|---|---|
| 輸送コスト | 高い | 安い |
| 輸送時間 | 短い(約3~7日) | 長い(約2~3週間) |
| 輸送量 | 少量・小型商品向け | 大量輸送可能 |
特に大きな違いのある輸送日数と輸送コストについて詳しく見ていきましょう。
輸送日数の違い
輸送日数は航空便のほうが圧倒的に短くなります。
例として、以下は中国から日本へ輸送した場合の輸送日数の目安です。
航空便…約3〜7日
船便…約2~3週間
航空便・船便いずれも、大型連休を挟むと輸送日数がさらに延びることがあるため注意が必要です。
※日中双方で祝祭日がある場合、通関業務が停止したり特別勤務体制となるため、到着までの日数がさらに延びる恐れがあります。
輸送コストの違い
輸送コストにも大きな差があります。航空便のほうが輸送費が高く、船便のおおよそ2~3倍になります。
国際物流の輸送料金は、一般的に「実際の重さ(実重量)」と「容積から計算した重さ(容積重量)」のうちいずれか、重い方で計算されます。
ただし、商品登録をしたばかりのタイミングや、在庫切れを起こした場合、航空便で発送することもあります。在庫切れを起こしている期間が長ければ長いほど、検索表示順位が下がってしまうため、機会損失になってしまうためです。
新商品販売開始のタイミングなどでは、1,000個仕入れたら、200個は航空便、800個は船便で送るといったような使い分けもおすすめです。
航空便のメリット・デメリット

航空便と船便の主な違いが分かったところで、それぞれのメリットとデメリットを解説します。まずは航空便です。
航空便のメリット
航空便のメリットは以下のとおりです。
- 輸送時間が短い
- 少量貨物の発送ができる
- 直接消費者宛にも発送できる
輸送時間が短い
航空便は、国際輸送の中で最も早く配送できる手段です。通常3〜7日程度で到着するため、在庫切れを起こした時や、急いで納品する必要がある場合に有効です。
少量貨物の発送ができる
航空便は少量貨物の発送に適しており、サンプル注文や日本から資材・商材を調達する場合によく利用されます。特に販売開始直後の新商品は、先に航空便で一部をFBAなどへ納品することで、販売開始までのリードタイム短縮を狙うことも可能です。
直接消費者宛にも発送できる
日本に倉庫を持たないEC販売事業者や、独自サイト販売をされている方が選ばれます。ただし、商用輸入になるため少額であっても輸入諸税は発生します。
航空便のデメリット
一方で、航空便のデメリットは以下の2つです。
- 輸送コストが高い
- 輸送できないものがある
輸送コストが高い
航空便はコストが高く、同じ荷物でも船便の2〜3倍の料金になるのが一般的です。特に重量や体積の大きい荷物は費用がかかるため、利益率の低い商品では負担が大きくなります。
輸送できないものがある
一部電子機器や液体、危険物など、普通航空便では発送できない商品が多いほか、重い商品やサイズの大きい商品なども発送に適しません。
以下は、航空危険物として航空便で送れないものの一例です。
- 火薬類…花火、クラッカーなど
- 高圧ガス…カセットコンロ用ガス、ライター、ヘアスプレーなど
- 引火性液体…アロマオイル、オイルライター、香水など
- 可燃性物質類…マッチ・炭
- 酸素系物質類…瞬間冷却材、漂白剤
- 毒物類…殺虫剤、農薬など
- 放射性物質等…薬事法に規定する医薬品など
- 腐食性物質…液体バッテリー、水銀など
- その他の有害物質…磁石、ドライアイス、リチウム電池を含むもの
(参考:日本郵便「国際郵便として送れないもの」)
以上のほか、仮に発送出来ても日本の法規制などにより、無許可や、無検査の状態では販売できないものもあります。
輸入販売事業者としてビジネスを行うのですから、少なくとも自身の取り扱いアイテムの法規制などは最低限事前確認しましょう。
船便のメリット・デメリット

続いて、船便のメリットとデメリットをご紹介します。
船便のメリット
船便のメリットは以下の2つです。
- 輸送コストが安い
- 大型サイズや、重い商品の発送が得意
輸送コストが安い
船便は輸送コストを大幅に抑えられるのがメリットです。フェリー便よりもLCL(混載便)、LCLよりもFCL(コンテナ貸切)が安くなるため、一度にまとめて出荷すればするほど輸送コストが下がります。
大型サイズや、重い商品の発送が得意
少量であっても超過サイズや重い商品は航空便には適しません。
追加料金は発生しますが、航空便よりも安いため、快速フェリー便などでの発送がお勧めです。
船便のデメリット
一方、船便のデメリットは以下の2つです。
- 輸送時間が長い
- 荷物が水や湿気で痛むことがある
輸送時間が長い
船便は到着までに2〜3週間程度かかるのが一般的です。天候や港の混雑などでさらに遅延するケースもあるため、急ぎの輸送には向いていません。
荷物が水や湿気で痛むことがある
船便は海上を数日に渡って航行するため、湿気や水濡れによるダメージが発生しやすい難点もあります。特に台風シーズンなどは高リスクです。頑丈に梱包したり、乾燥剤などである程度は防げますが、水没すると売り物にならなくなってしまうため、保険には加入することをお勧めします。
航空便と船便の使い分け方法

輸入ビジネスでは、コストが安い「船便」を利用することが多くなるでしょう。とはいえ、航空便を利用したほうが良い場合もあります。状況や荷物に合ったそれぞれの使い分けをご紹介します。
航空便が適しているケース
航空便が適しているのは以下のようなときです。
- 急いでいるとき
- 荷物が少量のとき
急いでいるときとは、例えば以下のようなケースが考えられます。
- サンプル品を発注したとき
- 在庫切れの商品を仕入れるとき
- トレンド商品を販売をするとき
- 季節商品の納品が遅れているとき
早ければ販売開始まで1週間もかからず、機会損失を最小限にできます。在庫切れの商品の場合は、相対的な利益を考えると一日でも販売再開するのが第一目標になるため、表示順位を下げないためにも、OCSなどの航空便利用を推奨します。
船便が適しているケース
船便が適しているのは以下のようなときです。
- 急がないとき
- 重いものを輸送するとき
- 大量に輸送するとき
- 航空便で輸送できない商品を送りたいとき
船便は大量の荷物をコストを抑えながら運べるのが大きなメリットです。
大量の衣類や生活雑貨などの人気商品をまとめて仕入れるときは船便が有効です。また、在庫に余裕があり、FBA在庫化が1か月程度待てる商品も船便を選ぶことで大幅にコストを削減できます。
利益率を守りつつ長期的に安定した輸入をしたいときには船便が向いています。
輸送方法を選ぶときに注意すべきポイント

船便か航空便を選択するときに、単純に輸送コストと日数のみを考慮して決めると、失敗してしまう場合があります。輸送手段を決める際に注意したいポイントは以下のとおりです。
- 航空便で輸送できない商品を知っておく
- 輸送コストを正しく計算する
- 在庫切れに注意する
それぞれ詳しく解説します。
航空便で輸送できない商品を知っておく
危険物や液体、リチウム電池を使った機器など、航空便では送れない商品があります。航空便を利用したいときは、送れる荷物かどうか必ず事前に確認しましょう。
輸送コストを正しく計算する
輸送コストを計算する場合、単純な輸送費用だけではなく、周辺費用も考慮しなければなりません。周辺費用には、輸入諸税及び通関手数料、コンテナなどでは日本側のデバンニングや配車、バンニング費用等が別途掛かります。
- 輸入諸税
- 燃油サーチャージ
- 通関手数料
- 保管料
- 保険料
輸入諸税とは、日本に商品を輸入するときにかかる税金のことです。関税についてはこちらの記事に詳しく書いていますので、あわせてチェックしてみてください▼

更にFBAなどの手数料や広告費、FBA保管料などもかかります。コスト計算を誤ると、思ったより利益が出ないばかりか、最悪赤字になってしまいます。
在庫切れに注意する
突然売れ出すなど、想定外の事も起こり得るため、仕入れ数や在庫数は余裕を持っておくことを推奨します。在庫を切らしてしまうと機会損失につながります。在庫が切れかけている状況で船便を選択すると、在庫補充が間に合わないかもしれません。一部を航空便で輸送するなど、在庫を切らさない工夫も大切です。
在庫切れを防ぐためには、販売データから販売個数を予測し、配送日数を逆算して早めに発注することが重要です。
まとめ

今回は、航空便と船便の違いと最適な使い分け方法について解説しました。
「急ぎのときは航空便」「コストを抑えたいときは船便」の使い分けが基本です。
とはいえ、商品によっては航空便で送れないケースや、船便でも想定外の遅延が発生することもあります。こうした判断をすべて自分で行うのは大変ですよね。
弊社イーウーパスポートでは、多彩な配送方法の中から、商品の特性や数量に合わせて最適な輸送方法をご提案いたします。食品衛生法検査などの複雑な手続きなども、通関業者と連携しながらサポートいたします。
輸送リスクを減らし、安心して中国輸入ビジネスを進めたい方は、お気軽にお問い合わせください。


